Macユーザになった理由

気がついたらすでにMacユーザになっていた、ほとんどそうとしか言いようがないと思う。

音楽制作をしている人たちの中にあっては珍しく、かつて僕は長い間Windowsユーザだった。
それというのもMicrosoftという会社は、中学の時に出会ったMSXパソコンから始まってNECのPC-98シリーズのMS-DOS、そしてWindowsと、自分のコンピュータライフと常に共にあって並々ならぬ愛着があったし、ちょっと見た目がかっこいいからとか、使いやすそうだから、などという理由でやすやすとプラットフォームを鞍替えするのは、今まであれだけ世話になってきたMicrosoftに対するひどい裏切り行為のように思えたからだ。
その僕がWindowsからMacへの移行を果たすことになった経緯はこうである。
iPhoneがこれだけヒットを飛ばしてスマートフォンも市民権を得るようになるはるか昔から、ノートPC以外の携帯情報端末(当時はPDA(=Personal Data Assistant)などと呼ばれていた)を愛用してきた。
そのプラットフォームがMicrosoftのPocket PC(のちのWindows Mobile)で、カシオの既に名前も忘れてしまった機種やら、HPのiPaq(今見るとiPadと間違えそうになる(笑))やらに、今は亡きTU-KAの携帯電話を接続して使っていた。
これらの端末の売りは、会社のExchange Serverのメールやカレンダー、コンタクトなどを同期して常に最新情報を持ち歩けることだったのだけれど、この使い勝手がなかなかコンシューマー向けに提供されてこなかった。
一応PCのOffice Outlookでカレンダーとコンタクトは同期が取れるのだけど、どうもMicrosoftから一貫性のある、コンシューマー向けの利用シナリオの提示がなく、ちょうどその頃から同社がWindows Live戦略によって、メールや個人情報はサーバー上で管理させる方向へ舵を切りはじめているにも関わらずメールのデータがIMAPで同期できなかったり、オンラインのコンタクトやカレンダーのインターフェイスが古い蝶のマークのMSNブランドのまま2年近くも放置されていたりと、率直に言ってしまえばこれらにあまり期待が持てなくなってしまったというのが正直なところである。
そんな折に耳に入ってきたのがAppleのMobileMeで、これはメール、カレンダー、コンタクト、ブラウザのブックマークのデータをすべてサーバーに置いて手持ちのPC, Mac, iPhoneと常に同期ができる、まさに僕が長年探し求めてきた理想のサービスそのものだった。
そうなると俄然iPhoneにも興味が出てくる。
さっそくMobileMeにサインアップしてメインブラウザは長年のInternet ExplorerからSafariへ、音楽プレイヤーはWindows Media PlayerからiTunesへ一夜にして移行を果たして準備万端、忘れもしない2008年7月11日、近所のショッピングセンターの行列に加わって日本初上陸を果たしたiPhone 3Gをゲット。
MobileMeは当初多少のトラブルはあったものの、およそ期待通りにPCのOutlookとiPhoneとがワイヤレスで同期してくれるようになった。
iPhoneそのものもよく出来ていて、丸みを帯びたツルツルのボディやユーザーインターフェイスのデザイン、特にタッチパネルに指を這わせたときの画面のリアクションの仕方は病み付きになりそうな心地よさがあって大満足。
こうなればMacも欲しくなってくる。そう、まんまとAppleの術中にハマってしまったわけである。(笑)
そんなわけでちょうど臨時収入もあったので思い切って購入したのが白いポリカーボネートのMacBook (13-inch 2008 Earlyモデル)。
そんじょそこらのWindows PCとはまるで違った、綺麗な化粧箱に入った白くてこれまた丸みを帯びた本体に、同じデザインのACアダプターやケーブル類、そしてマニュアルが薄い小冊子のみで、しかもそれを開くと最初のページで、「このMacは、あなたに出会うためにつくられたのです」という文章がまず目に飛び込んでくる。
とにかくAppleの、ユーザーを喜ばせようという明確な意志がひしひしと伝わってくる。
そしてもちろん、Macそのものの使い勝手もやはり素晴らしい。
当時DELLのタワー型PCで使っていたWindows Vistaが、比較的高スペックのワークステーションクラスのマシンだったにも関わらずしょっちゅうディスクアクセスを繰り返して、マウスポインターがクルクル回る青リングに変わっていたのとは大違いで、どんな動作もきびきびしていて、それでいてアニメーションも滑らかなのだ。それから日本語フォントがWindowsと比べて大変美しい。
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WindowsとMacとで、ブラウザの日本語表示を比べたところ。左がMacで右がWindows。クリックで拡大。
なるほど、世のMacユーザがこれほどまでにMacを愛してやまない理由が分かったような気がする。
こうなったら音楽制作を含めてメインの環境もMacで統一したくなってくる。
昔のブログに書いた記憶があるけれど、Cubaseをはじめ音楽関連のソフトやプラグインはほとんどMacとPCのハイブリッドなので、ほとんど追加投資なし、おまけにトラブルも一切なしでMacにSwitch。
(余談だけど、これはAdobeも見習って欲しい。いまだに同社はライセンスがMacとPCで別なので、Photoshop 7とIllustrator 10はParallels上のWindowsで動かしている……)
それから3年、今ではWindowsも7になってVistaと比べてパフォーマンスもだいぶ良くなったものの、すっかりMacをはじめとするApple製品の虜になってしまったので今さらWindowsに戻ることもなく、音楽制作に使うDAWもLogicへと乗り換えて、制作用のマシンもついこないだリリースされたばかりの27-inch iMacへとアップグレード。
弥生会計」などのWindowsアプリが必要になったときは前述のParallelsを使ってMac上で動かしている。
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Mac……というかAppleのすごさはいくつかあるけれど、とにかく自分たちの作っているものに対して常にブレない哲学と愛情を持ち続けていること、ユーザのメリットとなると判断すれば過去に囚われない大胆な変化をいとわないこと、ハードからソフト、それにサービスまですべてをワンストップで提供できていること、そして何よりMac、iPod、iPhone、iPadと、次々とこれまで見たことも聞いたこともないような斬新な製品を次々と世に送り出していくところだろう。
一方のMicrosoftは、長年の全方位的なシェア拡大戦略が逆にたくさんのしがらみを背負い込んでしまって身動きが取れなくなってしまったのではなかろうか。
仮にこれからWindowsが目指す方向性が見えていたとしても、ちょっとした仕様の変更や切り捨てだけでもビジネスパートナーの利害関係にダイレクトに影響が出てしまうとあっては、今Appleがやっているように根本的に何かを変えるといったことはそう簡単にはできまい。
そういえばつい先日、Apple株の時価総額がExxonMobilを抜いて世界一になったとか、同社の保有現金残高が米国政府を上回った(!)とか、まさに飛ぶ鳥を落とすような勢いを見せつけるAppleだけれど、そういった浮ついた空気に流されず、今まで通りの「孤高のApple」を貫いてもらえる限り、付いていこうと思う。まあ、Jobs氏の目が黒いうちは大丈夫だとは思うけど……。
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