Logic Pro X、現る。

皆様ご無沙汰しております、三輪です。
Pentagram以降、すっかり鳴りを潜めていた僕ですが、ここ半年何もしていなかったわけではありません。(笑)
少しプライベートがバタバタして辛いこともあったものの、新しいことにもチャレンジし、いろんな人との出会いもあり、周りのみんなに元気を分けてもらいつつ、次のステップに向けてもっぱらエネルギーをチャージ中であります。
もうすぐ2013年も残り半分となりますが、頂いているお仕事の納期に追われつつ、ここ最近はなんだかんだで楽しくやっております。
Pentagramなどの配信コンテンツについてもメールで感想をいただいたり、いつも応援してくださっている皆さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

さてさて、昨夜突如飛び込んできた、Logic Pro X発売のニュース!
前のバージョンのLogic Pro 9のリリースが2009年7月だそうなので、ちょうど丸4年の沈黙を守り、満を持して登場、といったところだろうか。
「待ちに待った」という人も多いと思う。

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僕がLogic Proを使い始めたのは2010年のことだから、もうかれこれユーザーになって3年が経つというわけだ。

Logic Proは大変パワフルかつ使いやすく、今ではこれなしの仕事は考えられないくらい、すっかり僕にとって手に馴染む道具になっている。

でも、この3年でMacを取り巻く環境もずいぶんと変わってきて、当時最新だったSnow Leopardは既に2世代も前のOSとなり、いまどきのMountain Lion上で動く最新のAppと比べると、どうしても設計の古さが目につくようになってきた。

そんなわけで、Logic Proについては何度も話題に上げているこのブログのこと、この最新版について触れない訳にはいくまい(笑)、てなわけでファーストインプレッションをお届けしたいと思う。

新機能の概要については、ダークグレーを基調としたモダンなデザインに衣替えしたユーザーインターフェイスを皮切りに、複数のトラックをまとめて管理できる”Track Stacks”、従来からあった、オーディオのタイミング補正機能の”Flex Time”に加えて、新しくピッチ補正機能の”Flex Pitch”が追加された。

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Flex Pitchの編集画面。MIDIのピアノロールのような感覚でオーディオのピッチを調整できる。

CubaseSONARなど、他のDAWではずいぶん前から搭載されていたものなので、「おお、やっとLogicでも同じようなことができるようになったのか!」といった感慨はある。
でも本音を言えば、こういった機能を使わずともベストなテイクが残せるよう、作曲家はメロディを煮詰めて、ボーカリストは日々鍛錬に励むのが、本来あるべき姿だとは思うのだけれど。

他にも自動でリアルなドラム演奏を叩きだす”Drummer Track”、譜面作成機能のブラッシュアップ、各種音源やエフェクト類の増強、MIDIプラグイン、”Patch”によるライブラリ管理機能の拡張など、詳しくはAppleの新機能紹介ページに譲るとして、個人的に仕事に直結しそうな部分に絞って掘り下げていきたいと思う。

僕にとって何より一番嬉しかったのが、複数のトラックをまとめて”Patch”として、プリセット保存できるようになったこと。
例えばアレンジでストリングスが必要になったときに、いわゆる通常の第一ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロといったPopの伴奏のような編成の場合、まず4つInstrumentsのトラックを作って、それぞれのチャンネルにViennaなどのプラグインを挿して、それぞれのプラグイン画面でパッチを読み込んで、という具合に、けっこうな手間が必要だった。
Logic Pro Xではこれが、いつもセットで使う複数のトラックをあらかじめ設定しておいてTrack Stacksとしてまとめて、それをパッチとして保存しておけば、ライブラリからクリックひとつで呼び出すことができるようになった。

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画面左のライブラリでパッチを選択するだけで、複数のトラックの設定を一度に呼び出せる

これまでも、プロジェクト全体をテンプレートとして再利用するとか、既にあるプロジェクトの一部のトラックをインポートしてくるといったことは出来たけれど、アレンジをしていて、「あ、ここは弦楽合奏が欲しいな」と思いたったときに、すぐにトラックを準備して弾き始めることができるというのは、ルーチンワークに煩わせられることなく創作に没頭できるという点で大きな前進だ。
この”Track Stacks”を使えば、これまで環境ウィンドウを開いて自分で内部的なMIDIの結線をしなければできなかった、複数のInstrumentのレイヤー演奏も簡単にできるのも見逃せない。

また、これまでTouch OSCというサードパーティAppで実現していた、iPadを使ったリモートコントロールも、 Logic Pro Xと同時にリリースされた専用のApp、Logic Remoteで手軽に実現できるようになった。
しかも、このAppのデキが非常に良い。

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Logic Pro Xのコンパニオン、Logic Remote

Logic Remoteを使えば、Wi-FiでMac上のLogicに接続して、録音や停止といったトランスポートやミキサーのフェーダー操作、ライブラリでのパッチ切り替え、iPad版のGarageBandのようにマルチタッチを駆使して画面上の鍵盤でLogic上のInstrumentを演奏したり、といったことができる。
しかも、単に「できる」というだけではなく、その動作が非常に安定しておりタイムラグも少なく、前述のiPad上の鍵盤を使った演奏もフェーダーの上げ下げも、通信をしているということを感じさせないくらいスムーズな動きで、体感できるレイテンシーがほんのわずかなのには舌を巻く。

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ミキサー画面。上部のタイム表示を左右にスワイプすると、動きに応じて再生ヘッドが移動する。

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Smart Control & Keyboard画面。操作方法はiPad版のGarageBandとほぼ同じ。

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Key Commands画面。主だった操作はキーボードがなくても可能。

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Logic Remote上から、Logic Pro Xのマニュアルを直接参照できる!

基本的に次々と演奏を録るだけなら、iPad上からの操作だけでかなりのことができてしまうので、じっくりとMacに向き合ってピアノロールやオーディオ波形の編集をしたり、シンセのエディットをしたりするのでもなければ、常にiPadをマスターキーボードの横の置いて、Macの画面とキーボードとを行きつ戻りつしながらの作業から解放されるし、ことフェーダー操作に至っては、Mac上でやるよりずっと快適だ。
逆にiPadのバッテリーを心配してしまうほどに、手放せない道具になりそうだ。

ちなみにこのLogic Pro X、一台のMacで旧版のLogic Pro 9と同居できるので、すぐに業務に使えるかどうか不安でアップグレードに二の足を踏んでいる人は心配ご無用だ。
プロジェクトのファイル形式は旧バージョンのLogic Proとは違う新しいものになったので、上記のように複数バージョンがインストールされている環境では、これまでのプロジェクトはLogic Pro 9で、新しくLogic Pro Xで作成したプロジェクトはLogic Pro Xで開くようになる。
もちろん、Logic Pro Xで、以前のバージョンのプロジェクトを開くこともできて、自分の試してみた限り、旧版のプロジェクトは、サードパーティのプラグインの情報も含めて問題なく読み込むことができたけれど、逆に新版で編集した結果を保存する時は、必ず新しいファイル形式で保存されるので、それを旧バージョンで再度読み込むことはできない(旧バージョンのファイルはそのまま残る)。

新しい形式のファイルでは、これまでのようにフォルダ内にプロジェクトのファイルとオーディオなどのコンテンツを分けて保存する方法の他に、パッケージとしてプロジェクトファイルそのものにオーディオファイルなどのアセットを含めてしまうこともできるようになった。

最後に、新しいユーザーインターフェイスについて一言。
前バージョンのLogic Pro 9は、とにかくてんこ盛りな機能がびっしりとメニューやダイアログに所狭しと押し込められていて、しかもUIの文字が非常に小さくて、視力の弱い僕にとってかなりつらいものがあったけれど、今回のLogic Pro Xで、この部分は完全に解消された。

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文字も大きく読みやすく。

UIの文字は基本的に黒字にグレーの比較的大きなサイズの文字で、メニュー項目などもかなり抜本的な見直しが図られて、あまり使われないような機能や、新しい機能と取って代わった機能はメニューから姿を消して、キーコマンドからのアクセスのみになった。
また、”Advanced Tools”という機能をオフにすると、使いこなせば強力だけれど、特にビギナーなどにはあまり必要とされないような機能が非表示となったり、「巨大なAppをどう使いやすくするか」といった点にかなり心配りが行き届いているように感じられる。
気をつけたい点としては、32 bitプラグインのサポートが打ち切られたこと。
何か愛用のプラグインが32 bitのものしかないという場合はちょっと困ったことになりそうだ。

そんなわけで、ブログを書いて遊んでいるとクライアントに怒られてしまうので(笑)、新しいLogic Pro Xで、そろそろ制作に戻るとしますか。
それでは皆様、熱中症などにくれぐれもお気をつけてお過ごしくださいませ!

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