Logic Proのリバーブを歌手や演奏者に返す

歌や楽器のレコーディングをするとき、ボーカリストやプレイヤーが気持ちよくパフォーマンスするために、彼女ら彼らのヘッドホンへの音の返し、つまりモニター音にリバーブをかけるという人は多いと思う。

ところが、アナログ卓やハードウェアのデジタルミキサーの場合と違って、DAWメインのシステムでこれを行うのは意外と面倒だったりする。
一般的に考えられるのは、録音トラックのオーディオチャンネルからセンド経由でリバーブのチャンネルへ信号が送られるようにしたうえでモニタリングやアーミング(録音待機状態)をオンにすることだけれど、ここで問題になるのはオーディオのレイテンシー(遅延)。Pro Trools|HDのような専用DSPベースのシステムなら1m秒ほどとほぼ音の遅れが無視できるレベルを実現しているのだけれど、MacのCPUで処理を行うLogic Proや他のDAWは、どう頑張っても10m秒以上のレイテンシーが発生してしまう。これはプレイヤーが十分違和感を感じるレベルだ。
そんなわけでLogic Proを使ったレコーディングで返しを送る場合はソフトウェア側のモニター機能はオフにしてしまい、オーディオインターフェイスのモニター機能を使うか、あるいはマイクプリの出力を分岐して直接ボーカリストやプレイヤーに音を返してしまうかするのが常套手段なのだけれど、そうすると今度はモニターと一緒に返すリバーブが問題になってくる。
このとき当然、モニター音はLogic側のチャンネルにルーティングされないのでプラグインのリバーブは利用できないから、これまた外部のアウトボードなどで賄うなどしてリバーブを返してやる必要が出てくる。
ところがLogic Proでは、実は録り音をモニターせずに信号だけプラグインのリバーブに送る方法があるのでここでご紹介しようと思う。
これを行うには、まず[Window] -> [Environment]メニューを選択して「環境ウィンドウ」を開く。
Environment.png
この環境ウィンドウというのは、いわばLogic内部の信号の流れを、モジュラーシンセのようにパッチケーブルでつないでカスタマイズしたりできる機能で、なんだか難解そうだし普段使いではあまりお目にかかることがないものだけれど、Logic Proのマニュアルを紐解いていくと、Logic Proの基本概念がいかにこの環境ウィンドウの仕組みに深く根ざしているかがわかる。
さて、上図のような画面が出てきたことを確認して、環境ウィンドウ内のローカルメニューから[New] -> [Channel Strip] -> [Input]を選択して、入力チャンネルストリップを作成する。
create_input.png
この「入力チャンネルストリップ」というのは、何を隠そうこの環境ウィンドウのみで作成できるもので、これを使えばソフトウェアモニタリングのオン/オフに関わらず入力信号をセンドエフェクトやバスに送ったり、直接このチャンネルにエフェクトをインサートすれば、コンプやEQなどエフェクト処理した音を直接オーディオトラックにレコーディングすることさえできる。
さて、ここではモニターの返しは前述のようにLogicの外側で処理するという前提で、リバーブだけ(アウトボードの類は一切使わずに)プラグインのものを使うというシナリオで話を進めていくことにする。
まず先ほど作った入力チャンネルを選択したうえで、環境ウィンドウ左側のインスペクタにある”Channel”欄から、録音に使いたい入力チャンネルを選択しておく。
select_source.png
続いてこの入力チャンネルのセンドをクリックして、あらかじめ用意しておいたリバーブ用のAuxチャンネルがつながっているバスを選択しよう。
turn_send_on.png
さらに、今しがた設定したセンドのスロットをホールド(長押し)してメニューから”Pre Fader”を選択し、入力チャンネルの信号がフェーダーの位置に関係なく送られるようにする。
pre_fader.png
これで準備完了! あとはセンド先のリバーブのチャンネルの信号をオケなどに混ぜてプレイヤーに返してあげれば、ドライのモニター音はソフトウェアで処理せずに外部でまかないつつ、リバーブやディレイのみLogic付属のものやWavesなどのサードパーティのAUプラグインを利用するという「いいとこ取り」ができるというわけだ。
当然このエフェクト音はLogic Proのレイテンシーの影響を受けるわけだけれど、リバーブの音が10m秒遅れたくらいで文句を言う歌手やギタリストはいるまい。(笑)
ちなみにリバーブの量はこの入力チャンネルのセンドレベルで調節できるし、あるいはいっそのこと返しリバーブ用に専用のAuxチャンネルを作って、入力チャンネルのセンドレベルは0dBにしつつ、送り先のAuxチャンネルの側のフェーダーでリバーブ量を調節した方が、いちいち送り量の調節のためにミキサー画面と環境ウィンドウを行き来する必要がなくなる分、お手軽かもしれない。
この方法のナイスなところは、レコーディング時のモニター返しとプレイバック時とで別々のエフェクトをかけられる点、モニタリングやアーミングの状態に関わらずとにかくプレイヤー側のマイクの音にリバーブなどを常に送れる点、コントロールルーム側のモニターレベルにこの返しのエフェクトレベルがまったく影響を受けない点などいくつもある。
最後に、この「入力チャンネルストリップ」は、Logic Proのマニュアルには「過去のプロジェクトとのの互換性維持のための機能」とあり、今後のバージョンで廃止される恐れもある点は考慮に入れて

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