新機種への驚きの少なさこそがAppleの凄さ

ついにAppleからiPhoneの新機種、iPhone 4Sが発表された。

既に各所で報道されている通り、iPad 2にも搭載されているA5デュアルコアプロセッサ搭載による高速化、8Mピクセルの高精細撮影やフルHDビデオ撮影などに対応する新しいカメラ、GSMとCDMA両対応のネットワークなど機能追加がなされたものの、それはどちらかといえば予定調和な順当進化であり決して大きなサプライズとは言い難い。
新しい音声、言語認識機能であるところのSiriは、20世紀のSF映画を思い起こさせてくれる楽しい機能ではあるけれど、まだBeta版とのことでどちらかと言えば発展途上のものだ。
巷では次のiPhoneはiPhone 5という名称で新しいデザインを引っさげて、電子決済等にも応用できるNFCチップの搭載などの革命的パワーアップが施されるのでは、といった噂がひんびんと聞こえてきただけに肩すかしを食らった人も多いようだけれど、実はこの新機種発表に対するサプライズの少なさにこそ、iPhoneが他のスマートフォンと一線を画す存在であり続けている所以であると思わずにはいられない。
今回の発表は繰り返すまでもなくiPhone 4Sという新しいハードウェアについてのものだったけれど、実はiPhoneのアイデンティティにハードウェアが占める割合は全体の1/3程度で、残る2/3はそれぞれソフトウェアとサービスが担っており、これらがシームレスにブレンドされて、トータルとしての「iPhoneのユーザー体験」がはじめて成就する。
ソフトウェアとはiPhoneやiPad、iPod Touchと緊密に連携する基本ソフトのiOSの新バージョンであり、サービスはこれらのiOS機器間やMac、PCとの間で難しい設定なしにメールや写真、音楽などの情報を簡単に同期できるiCloudが受け持つことになる。
大事なのはこれらがiPhone 4Sだけの新機能ではなくひと世代前のiPhone 4、そして二世代前のiPhone 3GSでも同様に利用できることだ。
このことは、例えば現行のiPhone 4ユーザにとって新機種への乗り換え意思をスポイルさせるに十分な理由となるだろうけれど、実際Appleは意図的に既存ユーザーに対してiPhone 4Sへの機種変更意欲を駆り立てないようにしていると捉えることもできるのではないか。
要するに去年や今年iPhone 4を買った人たちにとって、一年足らずで自分の持っている携帯電話が陳腐化して古くさく見えてしまうのは嬉しいことではないし、人気機種だからと言って短いサイクルで大量の端末がとっかえひっかえされることは地球環境にとっても決して優しいことではない。
それにAppleの収益源はiPhoneのハードウェアを売ることだけではない。MacやApp Storeのアプリ、iTunes Storeの音楽など多岐にわたるし、Apple製品をひとたび使い始めてその洗練された使い勝手やデザイン哲学に心酔してファンになった人々は末永く同社製品のリピーターとなることが広く知られている。
こういった傾向はiCloudの同期体験によってさらに高まることが予想されるから、去年iPhone 4を買ったユーザは今あわててiPhone 4Sに乗り換えるよりも、追加でiPad 2やMacを揃えた方がより良い選択になる可能性が高い。
実際、iPhone 4Sがデビューした今後もより低価格で併売されるiPhone 4やiPhone 3GSは依然として現行機種で、既存ユーザにとっても今月12日にリリースされる無料のソフトウェアアップデートや同日にサービスが開始されるiCloudによって自分の端末が生まれ変わるのは嬉しいことではないか。
iPhoneにとってハードウェアはひとつの側面でしかない。
このことこそがiPhoneの真の凄さであり、ハードウェアスペックで勝負するしかない他のスマートフォンとの違いを決定的に分かつ部分であると、今回の発表でより印象づけられる結果になったと思う。
あ、ちなみに僕は今使っているiPhone 3GSのローンがちょうど終わる時期なので、iPhone 4Sに乗り換えようと思います!(笑)
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