真夏の夜の怖〜いお話 – 前編

僕は生まれてこのかた、あまり怪奇現象といったものとは縁のない人生を送ってきた。

そのせいか、「死者の霊」とか言われてもあまりピンと来ず、そのテのホラー映画を見てもあまり怖いとは思えない。
どちらかといえば、欧米型の「物理的に襲ってくる」クリーチャーの方がよっぽど怖いんじゃなかろうか。彼らには言葉も通じなさそうだし、何より大抵凶暴なやつばかりだ。
そんな感じなので、霊や妖怪のたぐいは怖いというよりは、むしろお目にかかれるものなら会って言葉を交わしてみたい、などと馬鹿なことを考えてしまうほどである。
まぁもちろん、それで理不尽に呪い殺されるのは勘弁だけれど……。
さて、時を少し巻き戻して7月の蒸し暑い夜、まったく何の前触れもなく「それ」はやってきた。
「ドスンっ!」
冷房の入った部屋で残った仕事を片付けていると、突然壁の向こうからものすごい衝撃音のようなものが響いてきた。
「何か積んであったものが落ちたのか?!」 そう思って部屋から飛び出して辺りを見回すも、玄関も台所も、さらには押し入れの中も、特に様子の変わったところは見当たらない。
ましてや、人の気配などもまったくしない(もししたらそれはそれで、ものごっつぅ怖いが……)。
強いて挙げれば、玄関先を一瞥したときに何か引っかかるような、ちょっとした違和感のようなものを覚えたけれど、いくら家の中を歩き回ってもそれ以上の異変が認められなかったので、釈然としない気持ちもそのままに、その日は諦めて寝てしまった。
しかしその約10日後、まさに戦慄と言ってよい事実を目の当たりにしようとは、このときの僕はまだ知る由もなかった……。
後編に続く!

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